こちらのオーナー様との出会いはオーナー様お父様の当社へのご訪問からでした。
お父様のご自宅近くに分譲地ができるので、その一角に息子さんの家を建てるための工務店をお探しになっていたそうです。
当社以外にも既に何社か回られ担当の方から建築内容について聞いているとのこと。
当然、当社でも家づくりの進め方や性能、おおよその価格などのご質問がございました。
お父様が次にお越しくださったときには、分譲地の図面をご持参の上こんな家にしたいんだけど、というようなプランを出していただきました。
私もいろいろな家に関してのことを聞かせていただきながらアドバイスをさせていただきましたが、お父様のお話がとても建築的に的確だったのでお仕事は建築関係ですか?とお聞きしてみると、今は違うけど以前建築に携わっていた、とおっしゃっていました。
その後何度かお父様と打ち合わせを重ね、しばらくして、家を建てる長男の息子さん、オーナー様がいらっしゃいました。
まだお若い方で、私の長女よりも少し年齢が上くらい、私の子供世代でした。
今考えると、おそらく私もそうしたかもしれませんが、まだ社会経験が浅い息子さんに代わりまずはお父様が工務店巡りをして、息子さんたちに合いそうな会社をご自分の目で確かめたかったのかな?と勝手に想像していました。
その後、長い時間をかけプランニングの詳細まで決めていただき図面化しました。
プランニング中、オーナー様奥様も一緒にいらっしゃいました。
お話していると実はお二人はこれから御結婚されるそう。
オーナー様にとっては御結婚と家の新築という大きなお祝い事を同時にされるということでした。
私も正直申しまして、このオーナー様ご夫婦の家の新築に携わらせていただきとても嬉しく感じたことを覚えています。
それではここから家のご紹介に参りましょう。まずは外観から。
外観はオーナー様のご希望でモダンなイメージにしました。
当社は家の断熱性能を重視しているので外張断熱を付加断熱とし、この外張断熱が同時に塗り壁の基材になり、その塗り壁は当社標準仕様となっています。
今回のオーナー様は、外壁の一部にガルバリウム鋼板を使いたいということで外張り断熱の上からガルバリウムを張りました。
裏手から見ると北側が道路なのでこちらが駐車場になります。
右側の飛び出た部分が後程ご紹介するミニシアタールームです。
玄関に入ると奥に見えるのは洗濯脱衣室。
オーナー様は仕事から帰宅後すぐにシャワーを浴びたいとおっしゃっていました。
右に見えるのはシューズクローク。
シューズクロークは主に靴の収納場所ですが、オーナー様はコートやその他のものの収納を希望されていました。
入ってみると
棚がずらっと並んでいます。奥にはロングコートも掛けれるパイプハンガーが設置されています。
棚は可動式になっており、収納する物の大きさにより3cm間隔位で高さを調整できます。
反対側からです。
オーナー様はこのシューズクロークを収納として有効的に使おうと、空いている空間全てに棚を付けました。
見えているパイプは将来お子様が生まれてきた時にコートを掛ける予定のパイプです。その際、パイプの下の棚は外して他の場所に移動させます。
洗濯脱衣室の手前にはトイレがあります。
奥の壁紙はディズニーの「くまのプーさん」。
かわいい手洗いです。
木のハンドルが付いたアイアンの水栓とタイル、洗面ボウルのまるい陶器のデザインが可愛い雰囲気を演出してくれます。
洗濯脱衣室は右側が洗濯機置き場、左側の上が衣類洗剤などを置くスペース、下が脱いだ洗濯物を入れるカゴを置くスペースになっています。
左隣の棚は小物類を置く場所です。
シューズクロークもそうでしたが、空いているスペースは収納に有効活用されています。
洗濯脱衣室のすぐ右手はバスルームです。
ここからの生活動線はこの家の特徴にもなっています。
この部屋の目的は洗面室と、洗濯し終えたものの室内干しとその収納です。
一般的には洗面と脱衣、洗濯は一部屋で機能させます。
この家ではその働きをあえて二部屋に分け、より機能的に、スペースに余裕をつくりながら生活動線に組み入れました。
洗濯脱衣室→洗面台設置のクローゼット→廊下→パントリー→キッチンです。
反対側から見てみました。
廊下を挟んでこちらは大容量のパントリーになります。
シューズクローク同様、入れる物に合わせて棚は高さ調整ができます。
パントリーの隣にはキッチンを配置。
先程の一連の作業動線の、反対側の終点になります。
リビングダイニングです。キッチンからリビングダイニングを覗いています。
キッチン~クローゼット設置の洗面室~洗濯脱衣室まで一本の作業動線で繋げています。
途中、大容量のパントリーがあるので物の出し入れもスムーズです。
開放的な吹き抜けと自然素材の無垢床材や漆喰壁の空間です。
反対側からです。
下から2階の部屋が見渡せるぐらいの大きな吹抜けです。
上部の手摺部分が強化ガラスになっていて上からもリビングダイニングがよく見渡せます。
角度を変えてみたところです。
吹抜けは南向きの窓に面しているのでリビングダイニングはとても明るいです。
奥に対面になっている小上がりの和室があります。(小上がりの和室とは、床を1段約40cm程高く上げた和室です。)
このスペースは特にオーナー様のこだわりの部分で、キッチンで料理をされる奥様とも対面で会話が楽しめるよう、この様にしました。
キッチンとの対面部分。
立派な木のカウンターには和の趣を感じる天然木を使用。
この木を探すため、ご紹介させていただいた三島の銘木屋さんにご家族で足を運ばれました。
畳は琉球風畳です。
正方形の畳で、畳の色を変えると市松模様になります。
小上がり和室には床を高くしてベンチにするだけでなく、もう一つ利点があります。
それは下の部分が収納になることです。
この収納は当社のオーナー様がよく採用されます。
お子様が小さい時などはおもちゃ箱やお着替えなどを入れているそうです。
低い位置なのでお着替えもお子様ご自身で出せますね。
階段下の謎の四角い穴は何か・・・?
これは自動掃除機「ルンバ」の基地です。
何組か前のお施主様よりご要望があり、それを聞いたオーナー様が採用されました。
掃除が終わったら、自分でこの基地にルンバが戻ると思うと楽しいです。
天井を見上げると
大きな吹抜けには欠かせない空気をかき混ぜるシーリングファンが付いています。
天井材はアメリカンレッドシダーという松材の無垢板を貼りました。
これもオーナー様のこだわりです。ブラックカラーのファンもよく似合っていますね。
2階から吹抜けを覗いてみました。
吹き抜けの周り、木の柵のようになっている所はキャットウォークと言い、主に窓を内側から拭きやすくするために設置した通路です。
この位置だとアメリカンレッドシダーの色合いと木目がよりよく見えてきれいですね。
この家のシンボル的な場所です。
2階に上がりました。
こちらはご夫婦の寝室です。とは言ってもお引渡し前なので、ベッドなど家具がまだないのでガランとしています。
床はアンティーク栗という、古く年代が経過したかのようなアンティーク調に加工された栗の無垢材です。
栗というとなんとなく食べ物を想像してしまいますが、無垢材としての栗は固くとても丈夫です。
以前は家の土台としても使われましたし、最近ではおしゃれなカフェの土足用床としても使われています。
採用されたアンティーク栗は栗材の表面の質感を生かし、わざと加工傷などを残して使い込まれた感を出しています。
寝室の一角にウォークインクローゼットを作っています。
北側になりますが換気窓と、外から光を採る工夫をしています。
子供部屋です。
お子様用の部屋も自然素材を使い室内環境を良くしています。勉強もはかどるかな?
2階のトイレです。
こちらも1階のトイレ同様ディズニーキャラクターの壁紙を採用しています。
ミッキーとドナルドダックがいますね。
ここは天井が低くなっている納戸です。
納戸は荷物の出し入れ以外あまり入らないと思いますが、楽しくなるような壁紙と床材を選ばれました。
ここの壁紙もディズニーのくまのプーさんです。
2階のバルコニーは広めに作りました。
南向きでお洗濯物も気持ちよく乾きそうです。
最後にご紹介するのがこの家の大きな特徴であり設備の「シアタールーム」です。
オーナー様は当初よりこの部屋の構想を語られていました。
オーナー様の当初のご要望が、ご趣味の映画鑑賞を周りを気にすることなくご近所にも迷惑をかけず、できるだけ大音量で鑑賞したいという事でした。
私は迷いました。当社では遮音効果もあるセルロースファイバーを断熱材として標準採用してはいますがそれだけでオーナー様のご希望を叶えられるだろうか?
調べてみると遮音効果の数値的には問題はなさそうでした。
そして当社で建てていただいた過去のオーナー様より、セルロースファイバーの遮音効果については効果アリ、とお教えいただいていたのもあり思い切って工事しました。
この部屋の壁を通常の壁の2倍の厚さにし、セルロースファイバーも2倍入れました。
お引き渡し後、オーナー様は大音量で映画鑑賞をされているようですが、近隣への音漏れもせず問題なさそうで本当に安心しました。
最初に書きましたが、当初この家の工事をさせていただくことになり、オーナー様の年齢が私の娘、息子と同年代だったので自分の子供の家を建てるような感じでとてもワクワクしていました。
その後、当社の家づくりの基本でもありますが、長い時間をかけたご要望の聞き取りとご意見の交換をし、プランニングを完成させ図面化し工事も全て無事完了いたしました。
オーナー様はこれからの長い長い時間をこの家で過ごされます。
もしかしたら家族構成が変わったり、様々な生活の変化が生まれるかもしれません。
どんな環境になっても、この家で安全に、そして安心して過ごしていただければ幸いです。